学校の授業をちゃんと受ける意味②

前回の記事で,学校の授業をちゃんと受ける意味について述べました。
今回はその続きです!

目次

情報の伝達手段

まず,情報伝達の手段の話をしましょう。
塾に通わない場合,基本的に学習の手段は参考書になります。
各自で参考書を購入し,それを読んで勉強することになりますね。
 
それ自体は問題ないのですが,参考書の欠点は,情報の伝達手段が文字のみであるということです
人間の知覚手段には,視覚や聴覚,触覚など様々ですが,できる限り多くの手段を用いたほうが知識としての定着は早くなります。
たとえば英単語だったら,単語帳を黙読するだけではなくそれを音読してみたほうがずっとはやく記憶できます。
英単語に限らず,勉強というのはなんでも,いろいろな感覚を活用したほうが効率は良いのです。
 
受験勉強で学ばなければならないことは山ほどありますが,そのすべてを視覚,つまり目を通して頭に押し込むのは本当に大変なことです。
できるならば他の感覚も用いたほうが定着が早いですし,忘れにくくなるわけです。
その「他の感覚」は,多くの場合聴覚になることでしょう。
触覚や嗅覚も少し活用できるかもしれません。受験勉強で味覚は……あまりないかな。
化学室の薬品は不用意に食べてはいけませんよ。
 
冗談はともかく,勉強で用いるべき第二の感覚は,多くの場合聴覚になります
もちろん,独学の時に音読を採用するのも重要ですが,学校の授業というものも,皆さんの聴覚をフル活用する絶好の機会です。
たとえばある公式があって,これはどうやって導かれたのかとか,この公式はどのように役に立つのかといったことは,黙読するよりも先生に言葉で説明してもらったほうがずっと頭に入りやすいです。
 
先の章で詳しくお話しますが,黙読で頭に入れられるのは,断片的な知識や技術だけです。
しかしそれだけだと,この公式はどう役に立っているのかとか,この事件は後の世にどのような影響を与えたのかといった文脈の把握ができません。
大きな流れ,文脈といったものは,参考書を読むよりも誰かに語ってもらったほうがずっと学びやすいのです。学校の授業にはそのような価値もあります。

アウトプットの機会

次に,学校の授業では,自習と異なりアウトプットの機会が多いです。
具体的に言えば,学校の授業では英語を話す機会もあるし,先生に指名されて何か答えなければならないこともあるでしょう。
一人で勉強していると,そうしたアウトプットの機会はなかなかありません。

アウトプットすることの利点は,自分が内容を理解しているか否かを知ることができることです。
日頃自習をしているときに,その分野の内容を自分が本当に理解しているか否かを知るのは案外難しいことです。
もちろん,参考書や問題集の中の問題を解けば,自分の理解度をある程度は知ることができるでしょうが,授業内でのアウトプットでもそのチェックはすることができます。
自分が内容を理解していれば,それはちゃんと先生や他の生徒に伝わるでしょうし,理解していなければ伝わらないことでしょう。
他の人に自分の考えを第三者に伝えることによって,自分の理解度をある程度正確に知ることができるのです。他者に自分の考えを評価してもらうというのは,やっぱり重要なことです。

実験ができる

そして,学校の授業では,塾ではできないことも取り組むことが可能です。
その最たるものは「実験」でしょう。
理科の学習をしていると,教科書や参考書にはたくさんの実験が載っています。
そうした実験は,塾で勉強している限りは「紙の中の出来事」でしかないわけですが,学校だと実際に実験をすることができます。
有名な実験,たとえば化学で言えば銀鏡反応やヨードホルム反応などは,きっと学校の授業で実験をやるでしょう。
そうした実験は,ちゃんとやれば(当然)教科書通りの結果を得ることができるでしょう。
 
しかし,じゃあ実験をする意味がないのかというとそんなことはありません。
自分の手で実験をすることで,実験の内容や結果,その原因などをより深く理解することができますし,実験器具の扱い方も身につきます。
たとえば,化学では「共液洗浄」という重要な操作がありますが,どの器具は共液洗浄の必要があってどの器具では不要なのかというのは,受験では知っていなければなりません。
そうした細かいことは,理屈を考えずに一々暗記していたらキリがないですよね。
しかし,実際に自分の手で実験をすることで,なぜこの場合は共液洗浄が必要であの場合は不要なのかというのが経験や理屈を伴って理解できるのです。
理屈とともに覚えるというのは非常に重要です。
というのも,仮に細かいことを忘れても,身につけた理屈からもう一度考え直してやればいいからです。
暗記するものの量の節約になりますし,暗記の最大の弱点である「覚え間違い」も減らすことができます。
 
また,実験器具の扱いを知るというのも大きな意味があります。
器具の扱い方は,受験でも,大学に入ってからも非常に重要です。
よく入試問題で,「このような操作をするのはなぜか。」とか「◯◯のためには,ここでどんな操作をすれば良いか。」といったような問題がよく出ますが,各実験器具の主な用途や形状や性質を理解していれば,いちいち暗記しなくてもそうした問題に太刀打することができます。
大学以降でも当然実験をする機会はあり,そのときに事故を防いだり正しい結果を得たりするためには,実験器具の正しい扱いが不可欠です。

自分の考えをまとめて,発表する機会

学校の実験ではレポートを提出することも多いでしょう。
レポートを作成する力は,一見受験に関係ないように思えますが,実はそんなことはありません。
むしろ,非常に重要だとも言えます。
レポートでは,自分がその実験で何をして,どんな結果が得られて,それをどう考察したのか,そしてどのような結論を導いたのかを明確に記す必要があります。
実験結果は,自分の予想通りかもしれませんしそうでないかもしれません。
予想通りであった場合,自分の行った操作が正しかったと確認することができます。
 
また,予想に反する結果であった場合,自分の操作をよく見直して原因を突き止める必要があります。
原因を考えるというこの過程は,受験に限らずいろいろな場面で大きく役に立つでしょう。
さらに,実験のあれこれをレポートという形にまとめること自体も,要点を捉えて簡潔に表現することのよい練習になります。

まとめ

かなり長くなってしまったので,まとめ。
学校の授業に積極的に参加する利点は,

  • 受験勉強として学んだことの良い復習になる。
  • 視覚のみならず聴覚を活用することで,学習の定着が良くなる。
  • アウトプットの機会が多いので,自分の理解度を正確に把握できる。
  • 実験など,独学や塾ではできないことが可能である。

などです。このように,学校の授業には非常に大きな価値があります。受験勉強のほうが学校の授業よりも大事だ,なんてことは間違っても考えないでください。それは大きな誤りです。
 
学校の授業は,通常は週五日,一日六時限です。一週間の授業時間を計算すると,二十五時間にもなるのです。
週二十五時間も勉強の機会が与えられているのです。それも,先生付きで!
これを利用しない手はありませんね!

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この記事を書いた人

オンライン家庭教師を運営する東大卒塾長。
入試数学を解説する YouTuber(登録者10,000人超)

2012年 栄東中学校卒
2015年 筑波大学附属駒場高等学校卒
2019年 東京大学理学部物理学科卒

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