数学の勉強法②:入試問題を突破する力を養う段階

前回から3回にわたって,数学の勉強法について述べてます。
主に大学受験生(高校数学)を対象にしています。
 
私は,数学学習のステップを

  • 問題を解く最低限の力を養う段階
  • 入試問題を突破する力を養う段階
  • 入試問題を枠を超え,発展的な内容を学ぶ段階

に分けてみました。
今回は,二つ目(入試問題を突破する力を養う段階)について述べます。
東大入試を例にとってお話ししますが,他大学の受験生にとっても参考になる内容にしました。

目次

東大数学の入試形式と過去問演習

まずは東大入試の数学の出題形式について軽く触れたいと思います。
東大の数学は試験時間が150分で大問が6つです。
単純に考えて大問一問あたり25分ということになりますね。
大学入試の数学の中では,大問一つあたりにかけられる時間はこれでも短いほう。
他国立大学,あるいは私立大学医学部の方が大問あたりの時間は長いことが多いです。
 
何を言いたいのかというと,東大数学では,じっくり考える力のほかにいかに手際よく問題を解決していけるかがカギになっているのです。

入試対策というと,真っ先に思いつくのは過去問演習でしょう。
東大受験生ならだれでもご存知でしょうが,「25カ年」という過去問シリーズがあります。
東大の過去問を,科目ごとに二十五年分まとめた過去問集です。私も数学と理科の25か年を使用していました。
収録年数が多いので,過去問演習にうってつけです。
過去問演習って,どうやれば良いの?
どの時期から過去問演習を始めたらいいか,そして何年分やればいいかというのは悩ましいところだと思います。
過去問演習には,大きく分けて次の二通りあります。

  • 時間を測らないで,一問ずつじっくり解いていくというスタイル
  • 本番同様に時間を測って大問六つに取り組んでみるというスタイル

これら二つのやり方はどちらがより大事だというものではなく,いずれも大切なものです。
以下,二つのスタイルの使い分けについて説明します。

一問ずつじっくり解いてくスタイル

一問ずつじっくり解いてくスタイルは,苦手分野の克服に向いています。
不得手な問題を,時間を測って取り組むのは大変なことで,解ける見込みも少ないですしなにより精神的に苦痛です。
時間に追われながら解くというのもそれはそれで重要ですが,苦手分野においてそれを実行してもなにもご利益はありません。
こういう時は,時間に制約をかけずにじっくり解いていくのが最も効果的であるように感じます。

東大の過去問は分野にバリエーションがありますし,難易度もさまざまです。
したがって,ある意味東大向けの対策問題集として最も適しているのではないでしょうか。
当然ながらよく練られていますし,悪問・奇問の類も少ないです。
うまく過去問集を使えれば,苦手分野のよい治療薬になることでしょう。

時間を測って解くというスタイル

第二のスタイル(「本番演習」と呼ぶことにします),つまり同じ年度の問題を本番同様時間を測って解くというスタイルは,入試が近づいて来たらやるといいと思います。
効果としては「模試の代わり」という感じでしょうか。
東大数学の出題形式や問題量・時間配分に慣れることができるのが,このスタイルの効果です。
本当のことを言うと,私自身は出題形式にこだわってその対策をするのは好きではないのですが,実際こうした演習は結構効果があります。
とくに時間配分は,練習を重ねればより上手になることでしょう。
 
注意点としては,あまり多くの年度を本番演習に費やすのは良くないということです。
時間を測っているので,全ての問題を満足がいくまで考えられるとは限りません。
すると消化不良のまま解答解説を見る羽目になり,入試の練習にはなりますが,問題の内容の面で収穫はそこまで期待されないのです。
年に何回か模試もあるわけですから,あまり本番演習ばかりやるのはよくありません。
何事もバランスです。    
先述の通り,東大の過去問は難易度こそ高いものの,良く練られておりかつ過度に複雑ではないため,演習問題としても格好の材料となります。
受験が近づく前から少しずつ過去問に触れておくと,いい勉強になるのではないでしょうか。
東大とは言えど,高二,あるいは高一でも解ける問題は案外存在するものです。
「東大入試なんて解けるわけないよ」と食わず嫌いせず,時間があるときでいいので少し触れてみてはいかがでしょうか。

以上,過去問演習の話でした。

過去問演習だけが入試対策ではない!

ここまで,主に過去問演習について述べました。

東大入試を突破するにあたり,東大の過去問を解いてみるのは当然ながら有効です。
ただ,東大の過去問演習だけが入試対策になるのかというとそんなことはありません。    
たとえば,他の大学の入試問題に触れてみるのもいいと思います。
なにも国立大学にかぎらず,いろいろな大学のものに触れてみると,それはそれで良い経験になることでしょう。
大学の先生方が入試問題を作成する際,限られた問題数でいかに効率よく受験生の能力を測るかが重要になります。
そのため入試問題というもの自体が,問題集に載っているような普通の問題よりも分野横断的な量問が多いわけです。
これはなにも東大に限った話ではありません。
問題の難易度に関して言えば,東大と他の国立大,それに私立大医学部などは正直大して変わりません。
むしろ東大より難易度が高い入試問題を出題する大学もたくさん存在します。他大学の過去問などにも,是非触れてみてください。
    
過去問演習のほかには,難しめの問題集を解くという方法もあります。
私の場合「大学への数学」という月刊誌を毎月買っていました。
この雑誌は通常の問題集よりも難易度がかなり高めで,かつ(後述しますが)入試対策に限らない発展的な記事も数多く存在するので,東大をはじめとする難関大受験生にも向いていますし,受験の数学では飽き足らない,という人にもうってつけです。

模試受験の際の注意点

最後に模試の話をします。いまやいろいろな塾で,大学別の模試というのが実施されています。
東大型の模試も当然ながら数多く行われいますね。
私も高校生のころ受験したものです。
模試は本番同様の出題形式で,時間や配点も東大入試に準じているわけですから,入試の練習としては非常に有効だと思います。
皆さんにも,少なくとも一回は受験することをお勧めします。
 
意義ある模試にするために,幾つか注意点を述べておきます。
まず,入試の練習をするわけですから,時間配分など「手のつけ方」はよく考えましょう。
入試本番でも,時間内にすんなりすべて解き終わるなんてことはそうそうありません。
ですから限られた時間でいかに多くの成果を上げるか,というのがカギになります。
模試の段階でそういうことを練習しておかないと,本番でもできるようになりませんから,よく心がけるようにしてください。
 
また,受験した模試は必ずよく復習をしましょう
自分の弱点を把握するいい機会ですから,出来が悪かった分野・問題については絶対に復習するようにしてください。
模試の解答解説は,一般的な問題集と比べると内容が詳しく,補足等も充実していますから,恰好の学習材料です。
まとめ
まとめると,東大の過去問演習のほかには他大学の過去問演習,それに難しめの問題集を購入するという方法もあります。
また,模試も正しく活用すれば大きな効果が期待できます。
 
基礎的な数学力が十分に備わって,「よし,これなら第二段階に行けるな」と自分で判断したら,今までに挙げてきたような発展的な演習を行ってみてください。
そうすることで,入試対策は自然と進むことでしょう。
 

次は3つ目のステップ「入試問題を枠を超え,発展的な内容を学ぶ段階」について述べていきます。

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この記事を書いた人

オンライン家庭教師を運営する東大卒塾長。
入試数学を解説する YouTuber(登録者10,000人超)

2012年 栄東中学校卒
2015年 筑波大学附属駒場高等学校卒
2019年 東京大学理学部物理学科卒

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